vol.15 パクチーブーム到来!畑でアムロ・レイが爆走!

〜事件は会議室ではなく、公園で起きていた〜

グルメ番組をつけたら「パクチー」
コンビニに行けば「パクチー入り〇〇」
電車に乗っていても隣の席から「うちの彼がパクチー好きでさぁ〜」

犬も歩けば棒に当たるならぬ、町を歩けばパクチーにあたる、おおげさではなく本当にそうだった。ヨメの私が好きだからという理由だけで、個人的につくりだしたパクチー、気づけば世の中がパクチーに染まっていた。

元町にはパクチー料理を扱う居酒屋その名も「神戸パクチー研究所 花吉」がオープンし、パクチーをメインとした料理だけでなく、パクチー入りのお酒なども登場した。
つくってもつくってもパクチーは足りず、そんな中、夫の携帯にはメディアからの取材や問い合わせも多くなっていた。雑誌の「Meets」やラジオ関西などいろんなメディアで夫や私はパクチーについて語った。

栽培について、効能について、レシピについて、パクチー愛について語りまくる日々。いつだったかパクチー畑をアムロ・レイが走り抜けたこともあった。
あのガンダムのアムロ・レイである。

確か、テレビ番組の企画で、パクチー好きのケンドーコバヤシのために、若手芸人若井おさむがパクチーを探してくるという内容で「パクチーありましたよー!」と絶叫しながら、緑色のパクチー畑を青いアムロ・レイが走っていく姿は、とってもシュールだった。

もし過去の私がタイムマシーンに乗って来て、この瞬間に出くわしたら未来の自分を間違いなく案じるだろう。

現実は小説より奇なり。

そんなある日、事件は起きた。
保育所に息子を迎えに行くと「お母さん、公園に散歩に行くと息子さんが雑草を食べてしまうんです」と先生から困った顔で相談をされた。

そのあたりにある草をプチッとちぎって、パクっとやるらしい。

はっ!思い当る節がある、息子にじゃなくて私に。

畑一面育てているパクチーだが、畑の場所によって味が異なる。日当たりや品種、土の具合によっても微妙に味が異なるのだ。

気になる場所のものをプチッとちぎってパクっとひと口。

「ここはやっぱり味ののりがイマイチやわ」

「ここはしっかり、茎の歯ごたえもいいね」

などと、効きパクチーの技を駆使しながら品質チェックを行う。

「すみません、息子に畑のもの以外は食べたらダメと言いきかせます」と大急ぎで先生に伝えた。

息子に教えると「わかった」といいお返事だったけど、公園から摘んできたペンペン草が、私がトイレに行っている間に数本消えていた時はさすがに驚いた。

現実は小説より奇なり。

けっきょく息子は一度もお腹を壊すことなく、公園を駆けまわっていた。

そして2016年の年末、その年の世相を反映し象徴する「今年の一皿」に「パクチー料理」が選ばれた。

パクチー愛好家の総称を「パクチストだ」いや「パクラーだ」といった論争や「追いパクチー」など、パクチー周りの造語もたくさん生まれた年だった。

流行の呼び名ができる頃にはブームの盛りは過ぎているというが、パクチーもこの頃がピークとなり徐々に世の中の熱はおさまっていった。

そして2018年「パクチーハウス東京」が7年間毎晩満席のまま閉店、翌年に大阪の「GoGoパクチー」が閉店、神戸の「パクチー研究所 花吉」も2023年閉店した。

パクチーの場合ブームは去ったが、消えたのではなく一般的な食材として定着したといわれている。そして2025年現在、ふつうにスーパーでも買えるので、パクチー好きとしては単純に嬉しい。

そんなブームの終焉とは別に毎日パクチーと向き合っていた 夫はあることを思い始めていた。次回に続く。

次回、いよいよパクチーブーム終焉、その時パクチー農家は…。

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