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〜品質管理はAIよりも嫁に任せろ〜

「スーハーッ!」

パクチーを大量に育ててみて、露路での栽培に限界を感じた夫。
ビニールハウスの必要性を日に日に感じるのだが、ハウスを建てるお金などない。

そんな夫の思いをよそに嫁の私はパクチー畑の真ん中で、大きな深呼吸をひとつ。
好きなパクチーの香りを思う存分に嗅ぐ幸せを噛み締めていた。
それに嫁の私にしかできない重要な仕事もあった。

それは「きき酒ならぬ、ききパクチー」

パクチーは意外と肥料を多く必要とする作物だった。
ただ、肥料をやり過ぎると味が落ちてしまう。

「こっちのパクチーとこっちのパクチー、どっちがうまい?」

仕事から帰ってくると玄関で夫が待ち構えており、左右の手に持ったパクチーを差し出される。
それを生のまま静かに口にする。

「むしゃむしゃ」

そして小さくうなづき
「左の方がまろやか、右はちょっとえぐみがある」

「やっぱりそうかー!右は肥料変えてみてん。あの肥料やとえぐみが出るんか」

この微妙な味の違い、パクチーがあまり好きではない夫は全くわからない。
逆に私は、日あたりの具合などで変わる微妙な味の差も感じることができた。
この分野が格付けであればGACKT様にも負けない自信がある。

また、パクチーは種が採れた国によっても味が違った。
ヨーロッパで採れた種から育ったパクチーは爽やか、タイで採れた種から育ったものは、味に強いパンチ力。
そしてあのパクチー独特の香りが強く感じた。

そして、栽培する人の性格も味にでる。

当時もりたんぼにはパクチーを栽培してみたいという人が訪ねてくることがあった。
まずは、うちで使っている種を渡して、同じ肥料を使ってもらい栽培してもらう。
そして、できたら試食させてもらう。

そんなことが何回かあるうちに、栽培する人の性格とパクチーの味が比例していることに気づいた。

優しい人が作るとまろやかな味、大雑把な人が作ると大味、元気な人が作ると勢いのある味。
控えめな人が作るとすっと後味がひいていくような味。

これはパクチー以外の有機農作物にも共通するように思う。
「生産者の顔が見える野菜」ならぬ「生産者の性格まで見える野菜」だ。

味はあくまで個人的な感想に過ぎないけれど、私が農家の嫁になって気づいたおもしろいことのひとつだ。

普段の買い物ではなかなか、どんな人が作ったものかまではわからない。
でも「これは隣のおじいちゃんが作った大根で、こっちは裏のおばあちゃんからもらった大根」なんて時代には、わりとあたりまえの話だったのかもしれない。

ちなみに、もりたんぼの野菜はニンジンのブランド名「こいちゃん」からもわかるように全般的に濃いめの味がする。

我が家の夫は見ためも性格も濃い。
ちなみに若い頃はお笑い芸人のシャンプーハットの小出水「こいちゃん」(現恋さん)に似ていると言われていた。

そんな濃い夫は「今日もビニールハウス、寝ても覚めてもビニールハウス」
サンタさんにゲームをおねだりする子供のように、唱える。

さて、ビニールハウス、もりたんぼにやって来るのか?!来ないのか?!

次回に続く。

(生育については畑の場所や土の状態にもよるので、あくまでもりたんぼの体験談です)

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