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〜パクチーはもりたんぼの土と相性が悪かったの巻〜

「パクチーが足りていない」

パクチーハウス東京のオーナー佐谷さんは言っていたが、確かにパクチーハウス東京でのパクチーの消費量はすさまじかった。

ある日の配送はパクチーだけで12キロ。
パクチーの1株が平均10〜15グラムだとするとざっと計算して約1000株だ。

パクチーがぐるなび総研の今年の一皿に選ばれたのは2016年。
ブームはまだ先だったがすでにパクチーハウス東京では、毎晩パクチー好きが全国から集まっていた。

そしてアジア料理ブームの後押しもあり、知る人ぞ知る存在だったパクチーは、徐々にマスコミにとりあげられだしていた。

求められるままに、種を購入し撒いて、水をやり育てるをくりかえてしているとあっという間にもりたんぼの圃場は広大なパクチー畑となった。

そして大量に育てていると、パクチーは水はけの良い土質を好む作物だということがわかってきた。もりたんぼの畑は、神戸特有の粘土質の畑。
つまりパクチーとの相性は良いとは言えず、育ちにくい。

粘土質で作ると生育速度が遅く、収量が落ちる。
そして何より収穫時にスポスポと抜くことができず時間がかかる。

圃場に合わない作物を育てると非効率的で、時間がかかる。
そんなことも農業初心者の私たちは気づかず、ひたすら邁進していた。

そんな無謀ともいえる環境で一年間パクチーを栽培し、夫はあることを感じていた。

「ほ、欲しい、ビニールハウスが欲しい。」

ただでさえ厳しい環境の中、天候に左右されやすく、水管理も難しい露路栽培(屋外での栽培)。
すでに限界を超えている。

これ以上、収量を増やすにはハウスしかない。

でもビニールハウスを建てるお金など、もりたんぼにはない。

せっせっとパクチーをひきぬきながら「あれさえあれば…」と隣の芝ならぬ、隣のハウスが青く見える毎日。

しかしそんなことはお構いなしに、パクチーブームの足音はすぐそこまで来ていた。

(生育については畑の場所や土の状態にもよるので、あくまでもりたんぼの体験談です)

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